大地震や台風、豪雨、雷などで停電が発生した時、注意しなければならないのは二次災害としての「通電火災」です。
通電火災は、停電が復旧した後に起こりますが、対策を取ることにより防ぐことができます。
通電火災とは?
通電火災とは、大地震や台風、豪雨、雷などで停電が発生し、その後電気の供給が復旧した時に起こる火災を言います。
自然災害が起こると、家屋の一部が壊れたり、家具や電化製品が倒れたり、家の中が浸水したりといった被害を受けますが、同時に電気の配線や電気器具も損傷している可能性があります。
そこに電気が復旧して、一気に電気が流れて来た時に発生するのが「通電火災」です。
阪神・淡路大震災の時には、家屋の全壊や半壊で住民が避難して無人となったところで電気が復旧し、通電火災が発生しましたが、この通電火災が全火災の6割も起こっていたとの事です。
避難せず家にいたとしても、どこから火災が発生するか予測できず、また通電後しばらくしてから火災が発生することもあるため、初期消火が難しく大規模な火災になりやすいのが通電火災の特徴です。
通電火災の原因と起きやすい場所
通電火災の原因はさまざまですが、主に次のような場所で起きやすくなっています。
●破損した電気配線
大地震や台風で建物の一部が損壊した時など、屋外及び屋内の電気配線がちぎれて破損していたり、配線の被膜が損傷している場合、通電した際に発火することがあります。
●壊れたコンセント
コンセントが壊れていたり、周囲にホコリが溜まっていたり、水に濡れていた場合などショートし発火することがあります。
●雨水に濡れた分電盤(ブレーカー)
分電盤(ブレーカー)が雨水で濡れているところに通電すると、ショートし出火することがあります。
●ガス漏れ
ガスが漏れているところに通電した場合、一気に出火することがあります。
●熱を発する電気器具
電気ストーブやこたつ、ヘアドライヤー、電子レンジ、オーブントースター、観賞魚用ヒーターなどの電熱器具が、通電により加熱され出火することがあります。
●倒れた照明器具
白熱電球が書棚や布団の上などに触れ、そこから発火することがあります。
●タコ足配線・延長コード
接続部や電気コードのどこかが損傷している場合、通電により発火することがあります。
停電復旧後の通電火災を防ぐ方法
停電復旧後の通電火災を防ぐには、次のような方法がありますので参考にしてください。
ブレーカー(分電盤)を落とす
通電火災を防ぐためには、停電になったらブレーカーを落とすようにすることが大切です。
また、避難する際も必ずブレーカーを落として、ガスの元栓を締めてから家を出るようにしましょう。
電気配線が損傷していないか確認する
屋外および屋内の電気配線が断線していないか、被膜が損傷していないかを確認しましょう。
異常がある部分は手で触れると危険なので、電力会社や電気工事店に連絡し修理を依頼しましょう。
電気機器のコンセントを抜く
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンなどの電気機器のコンセントを抜いて、損傷している場所がないかどうかチェックします。
異常がなければ、乾いた布でコンセントのホコリなどを拭き取ってから再び差し込みます。
熱を出す電気機器は通電後も確認する
電気ストーブやこたつ、ヘアドライヤー、電子レンジ、オーブントースター、観賞魚用ヒーターなど、熱を出す電気機器の場合は、コンセントを抜き損傷している箇所がないかどうか確認します。
コンセントを入れて通電後も、しばらくの間は正常に作動するかどうかを確認します。
燃えやすいものが近くにないか、十分に確認してからブレーカーを戻す
屋外、屋内の電気配線や電気機器の損傷などを確認した後、燃えやすいものが近くにないかどうかを十分に確認してからブレーカーを戻します。
家屋の損傷が激しく、ブレーカーに近づけなかったり、電気配線の確認などができない場合は、電力会社や電気工事店に連絡し、プロの方に依頼してください。
感震ブレーカーの設置について
感震ブレーカーとは、通電火災を防止するための機器で、強い地震の揺れをセンサーで感知すると、分電盤の主幹ブレーカーを強制遮断して電源をストップするというものです。
2019年現在、国では内閣府、消防庁、経済産業省の連携のもとに、感震ブレーカーの設置・普及を推進しています。
詳細は経済産業省のホームページに公開されています。
感震ブレーカーには、分電盤に取り付けるタイプ、コンセントに差し込むタイプ、分電盤におもり玉を付けるタイプなど、いくつかの種類があります。
取り付けに関しては工事が必要になるものと、自分で簡単に設置できるものとがありますが、自治体によっては購入・設置費用の一部を補助しているところもあるので、各市区町村のホームページ等で確認してください。
また、感震ブレーカーはネット通販で購入できるものもあります。
感震ブレーカー設置の際の注意
感震ブレーカーを設置すると、震度5強くらいの大地震が起きた際に、自動でブレーカーが落ち、家中の電気が切れます。
明るい時間帯なら良くても、夜間の場合はパニックに陥り、避難することもできなくなる可能性があります。
このようなことを避けるために、感震ブレーカーを設置した場合は必ず停電時に自動点灯するセンサーライトなどを設置しておきましょう。
停電時に自動点灯するセンサーライトは、ネット通販で購入することもできます。