猫があくびをした時や顔を近づけた時に、口の中の臭いを感じることがあります。この猫の口臭の原因は何なのかについて知っておきましょう。
また、猫の口臭を予防・改善する方法もご紹介しています。
猫の口臭の原因
猫の口が臭う原因として次のようなことが考えられます。
歯磨きをしていない
歯磨きを嫌がる猫は少なくありませんが、歯磨きをしないと食べカスがたまって、そこに歯垢が付きます。
歯垢を放っておくと、人間と同じように細菌が繁殖して臭いを発するようになります。
また、歯石化した歯垢は歯肉炎や歯周病を引き起こし、ますます臭いを発するようになります。
定期的に歯磨きをして、歯垢がたまらないようにすることが大切です。
口内の炎症
猫の口が臭いと感じたら、口の中をチェックしてみてください。
歯肉が赤くなっていたり、腫れていたり、出血が見られる場合は口腔内に炎症が起こっており、そこから臭いが発生している可能性があります。
炎症部分に細菌が繁殖すると、腐敗した生ごみのような臭いを発するようになりますが、炎症の原因としては、歯周病、歯肉口内炎、口腔内腫瘍などが挙げられます。
このような場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
口腔内の乾燥
あまり水を飲まない猫の場合、口の中が乾燥して「ドライマウス」の状態になり、一時的に口臭がきつくなることがあります。
口の中の唾液には、抗菌作用があり雑菌の繁殖を防ぐ働きがありますが、「ドライマウス」になると、口の中が乾いて唾液の分泌量が減少してしまうため、歯周病にかかりやすくなり口臭の原因にもなります。
ニオイの強いものを食べた
食べたものが原因で口臭がする場合があります。
特に人間と同じ食べ物で、味が濃くニオイが強いものを猫が食べた場合、口臭と同じような臭いがします。
また、缶詰タイプのキャットフードやドライタイプのキャットフードでも、口の中にニオイが残る場合があります。
ただし、食べ物が原因の口臭は一時的なものなので、しばらくしてから臭いが消えていれば問題ありません。
口腔内の病気
次のような病気が原因で口臭が生ずることがあります。
痛みで食事ができなくなってしまう事もあるので、口腔内の病気が疑われる場合は速やかに病院へ連れて行きましょう。
歯肉炎
食べ物の残りカスと細菌の塊である歯垢をそのままにしておくと、細菌が増殖して毒素が発生し、歯肉に炎症を起こします。
これが「歯肉炎」で、初期は無症状ですが進行すると歯ぐきが赤く腫れ、口臭が発生したり時には歯ぐきから出血することがあります。
歯はまだしっかりしていますが、さらに炎症が進むと「歯周病(歯周炎)」となり、歯がぐらついたり口臭もきつくなります。
歯周炎
歯肉炎が深いところまで侵食し、歯を支える歯周組織まで炎症を起こしている状態が「歯周炎」で、口から生ゴミが腐敗したようなきつい臭いが出るようになります。
歯ぐきからの出血やよだれの症状が出たり、痛みのために食欲が落ちたりしますが、さらに進行すると歯がグラグラと動くようになり、抜けてしまうこともあります。
歯周病を予防するには、歯磨きをして歯垢が溜まらないようにする事が大切ですが、すでに進行している場合は、動物病院で歯石を除去してもらうという方法もあります。
口内炎
舌や歯ぐきなど、口の中の粘膜が赤く腫れたり、潰瘍ができて痛みが出るのが口内炎です。
ひどくなると出血したり、ネバネバしたよだれが出たり、口臭が強くなるなどの症状が出るようになりますが、進行すると、痛みが出て食事がしづらくなるため、体重減少が見られるようになります。
口内炎の原因は、異物を噛んだことによる口腔内の外傷や、猫カリシウイルス・ヘルペスウイルスなどのウィルス性感染症、腎不全などの内臓性病気、自己免疫性の病気などが考えられるため、早めに病院を受診しましょう。
口腔内腫瘍
口腔内に腫瘍が発生した場合も、口臭がきつくなったり、よだれが多くなったり、口から出血するといった症状が見られます。
良性腫瘍、悪性腫瘍(がん)ともに口臭が発生しますが、猫に多い扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)では、骨まで進行すると顎の骨折を引き起こすことがあるので、早期発見が大切です。
内臓の病気
猫の口臭は、口の中の異常によるものの他に、何らかの内臓疾患が原因となっている場合もあります。
食欲がなく嘔吐や下痢の症状がある時は、食道や胃腸など消化器系の病気が考えられますが、この場合は、食べた物の消化が進まず水素ガスやメタンガスが混じった便やおならのような口臭が発生します。
尿の量が多くなったり、体重減少が見られる場合は糖尿病の可能性があり、口からアンモニアのような臭いがする場合は、腎臓病の可能性があります。
その他、重度な便秘や肝臓病、腸閉塞などでも口臭が発生することがあるので、体重の減少や尿・便の変化など、猫の様子がおかしいと感じたら、速やかに動物病院を受診しましょう。
猫の口臭を予防・改善する方法
猫の健康を守るために、口臭を予防・改善することはとても大切です。
次のような事をポイントに、日頃から口臭予防のケアを欠かさないようにしましょう。
歯みがきを習慣にする
猫の口内環境を良好に保つことが口臭予防の基本ですが、そのための最も効果的な方法が歯みがきです。
食べた物のカスである歯垢をそのままにしておくと、やがて歯石化し歯肉炎や歯周病を引き起こしますが、一度ついてしまった歯石は簡単には落ちません。
動物病院で歯石除去を行う場合は、基本的に全身麻酔が必要になるため、猫にも大きな負担がかかります。
そうなる前に、こまめに歯みがきをして歯垢が溜まらないようにしましょう。最低限、週に2~3回は行うようにすると効果的です。
猫用の歯ブラシには、「シートタイプ」「指サックタイプ」「ブラシタイプ」の3つのタイプがあります。
歯みがきになれていない猫には、シートを指に巻きつけて使用する「シートタイプ」がおすすめですが、だんだん慣れてきたら「指サックタイプ」を使用してみましょう。
歯みがきを嫌がらないようなら、口内の隅々まで届いて食べカスや歯垢を取り除ける「ブラシタイプ」がおすすめです。
猫用の歯みがきグッズは、アマゾンや楽天市場で色々な種類のものを取り扱っています。
どうしても歯みがきをいやがる猫のために、「歯みがきおやつ」というものもあります。
キャットフードを変更してみる
キャットフードは、含まれる水分量によって「ウェットタイプ」「ドライタイプ」「セミモイストタイプ」の3種類に分けられます。
缶詰やパウチで販売されている「ウェットタイプ」のキャットフードは、水分が多く歯垢や歯石がつきやすいという特徴があります。
水分量が少ない「ドライタイプ」のキャットフードは、食感が硬めですが歯垢がつきにくいため、口臭が気になる場合はウェットタイプからドライタイプに変更してみるのもひとつの方法です。
また、ドライタイプが苦手な猫の場合は、ドライタイプとウェットタイプの中間に位置し半生状態の「セミモイストタイプ」のフードを少しずつ与えながら、徐々に変更して行くという方法もおすすめです。
水分補給をしっかりと
猫は犬ほど積極的に水を飲みませんが、水分が不足して口内が乾燥すると唾液の分泌が減少し、「ドライマウス」になる可能性があります。
抗菌作用のある唾液が減少してしまうと、歯周病が進行し口臭もきつくなります。
毎日、新鮮な水を複数個所に用意し、猫がいつでも飲めるようにしておきましょう。
定期検診を受ける
歯周病や口内炎の悪化を防ぐためには、動物病院で定期的に検診を受けることが大切です。
病院では口の中の状態をチェックするとともに、内臓の病気が疑われる場合は尿検査や血液検査などを行います。
また、猫の口臭は感染症により悪化することがあるので、ワクチンを接種したり、すでに感染している場合は、治療薬が処方されたり食事指導などが行われます。
定期検査を受けていれば、口臭の原因がわかり、悪化するのを防ぐとともに病気の早期発見や早期治療につなげることができます。